苔の種類は数え切れないほど(日本国内だけでも2000種類以上)ありますが、おおむね「蘚類(せんるい)」「苔類(たいるい)」「ツノゴケ類」の3つの分類に分けることができます。
そして、普段よく見かける絨毯のようにみえるコケの代表格「スギゴケ」は蘚類に分類されます。そして一般的にコケは「苔(こけ)」という字を使っていますが、実はこの分類で分けると苔という漢字はおもに苔類(たいるい)に対して使い、本来なら蘚類(せんるい)に分類されるスギゴケには「蘚(こけ)」という字を使うのが正しいですね。
まれにですが「蘿(こけ)」という漢字を見かけますが、この字の場合はシダ類や地衣類または菌類も含めて見た目がコケのような植物ということを指したいときに使われているのかなと感じます。
ちなみに、このブログでは便宜上で特に区別なく「苔」や「コケ」という字を使わせていただきます。
【蘚類(せんるい)】
よくお寺とかの苔庭なんかで見かける絨毯のようなフサフサしたコケです。蘚類のコケは茎葉体(けいようたい)と言い茎と葉がしっかり区別でき、比較的乾燥に強い種類が多い。見た目は杉の葉状や絨毯のように見え、活着面から直立する種類を「直立性蘚類」、地面などの対象物の上を這う種類を「匍匐性蘚類」と分けることが出来ます。
直立性蘚類
一般的によく鑑賞対象とされて、苔庭や苔玉などに利用される多くの種類が、ここに分類されると言ってもよいでしょう。例えば、ホソバミズゴケ、ウマスギゴケ、ヒノキゴケ、ホソバオキナゴケなどです。ちなみにヒカリゴケもここに分類されます。
匍匐性蘚類
森林や里山などの岩や倒木などに、蔓性植物のように這いつくばっている姿を見かけることが出来ます。蒴(さく)には蓋があるものが多いです。例えば、ハイゴケ、ヒジキゴケ、コツボゴケ、トヤマシノブゴケ、ヒツジゴケなど。
【苔類(たいるい)】
お庭や駐車場の北側などの日陰を好んで生えている平べったいコケです。蘚類の葉は割と硬いものが多いのに対し、苔類は葉が広く扁平で柔らかいものが多いですね。葉と茎の区別が出来る苔類を「茎葉体苔類」、区別の出来ない苔類を「葉状体苔類」に分類します。
茎葉体苔類
一見すると苔に見えない種類も多く個性的な形態の苔が多い。例えば、ヤバネゴケ、ハネゴケ、ウロコゴケなど。
葉状体苔類
一般的にゼニゴケと呼ばれて駆除対象とされ嫌われている苔の多くが、ここに分類されます。苔好きでない方から見るとグロテスクだと思われてしまう悲しい苔ですが、隠れた魅力や能力がある品種が多いのもこの葉状体苔類です。例えば、ゼニゴケ、ハタケゴケ、ジャゴケなど。
【ツノゴケ類(つのごけるい)】
めったに見る事ができない希少種です。漢字で「角苔類」と記載される事もありますが、だいたいの書籍はカタカナで表記されています。名前の由来は、胞子体がまるで角(ツノ)のような見た目をしているためです。すべてのツノゴケ類は葉と茎の区別ができない葉状体で、蒴(さく)が出ていない時期は苔類(たいるい)との区別が難しく、日本では十数品種しか見る事が出来ないようです。例えば、ニワツノゴケ、ナガサキツノゴケなど。
以上の大きく3つに分類できるコケの種類ですが、この様な分類方法は学術的な○○科○○属のような正式な分類ではなく、形態や特徴から大きく分ける分類方法です。