コケについての用語をまとめてみました。

2020/01/26

コケについて小話

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コケについての文献や書籍を読んでいると、普段あまり聞かなかったり使わない用語がよく登場します。その都度調べていたのですが、なかなか難解な用語もあることと歳のせいか忘れてしまう事も多々あるため備忘録のようなコケの用語集を作ってみました。一般的な植物の用語と同じ意味の用語も多く感じますが、コケについての事でしか当てはまらない事もあるかと思います。また、備忘録の目的で集約したもののため、文献などで再度調べてくださいね。

【あ~お】

  • 一年生(いちねんせい):草花でいう一年草と同じ意味で、一年間で一生を終え世代交代する種類のこと。
  • 雄株(おかぶ):雌雄異株の苔でオスの個体のこと。

【か~こ】

  • 外曲(がいきょく):主に葉状体の葉が茎側を中心に考えると外側へ反り返っていること。⇒内曲
  • 仮根(かこん):茎や葉から発生している植物の根のように見える糸状のものですが、植物とは違い水は吸収できません。役割は木や岩などに活着するためのものです。

  • 瓦状(がじょう):茎葉体苔類の葉が重なり合って付いているいる様子を分類した形式。茎の先を上にした時に、葉を屋根の瓦にたとえ同じ並びなら瓦状という。対義語⇒倒瓦状
  • 花被(かひ):苔類の造卵器の周りにある花弁やガクのように見えるもの。
  • 気室孔(きしつこう):おもに苔類のゼニゴケで葉状体表面ある穴。蘚類ではあまり発達していない。
  • 偽足(ぎそく):ミズゴケ類やクロゴケ類にみられる蒴の下にある柄で蒴柄ではない。ほかに先端に無性芽を付ける柄状のものを示すこともある。
  • 偽孔(ぎこう):葉ににある気室孔のようにみえる穴でミズゴケ類に多くみられる。
  • 基物(きぶつ):苔が付着しはえている木や岩などの活着対象物のこと。構造物の基礎(きそ)とは違いコケのカラダではないが仮根がはい入り込むこともある。
  • 鋸歯(きょし):葉の細かいノコギリ状のギザギザ切れ込みのこと。ちなみに突起が2本しかなくても歯という。またいろいろなタイプがあり品種の鑑別に役立つ。
  • 頸部(けいぶ):蒴頸部を参照。
  • 茎葉体(けいようたい):茎と葉が区別できる構造の植物体。対義語⇒葉状体
  • 原糸体(げんしたい):通常は胞子が発芽し糸状になったもの。糸の形状はいろいろある。
  • 捲縮(けんしゅく):葉っぱが乾いて縮んだ状態。
  • 眼点細胞(がんてんさいぼう):苔類の葉に見られる苔由来の油状の液体で満ちた細胞。ほかの細胞とは色と形態が違うので顕微鏡下で容易に区別できる。

【さ~そ】

  • 蒴(さく):苔の胞子が入っている植物でいう蕾のようなところ。苔の花と思われていることも多い。
  • 蒴蓋(さくがい):蘚蓋(せんがい)とも言われ蘚類の蒴の先端についている蓋のような役割をしている部分。蒴が成熟し胞子の準備ができると外れる。
  • 蒴頸部(さくけいぶ):蒴の部位の名称で、壷(胞子が入っているふくらんだ部分)から蒴柄までのふくらみの事を示す。
  • 蒴歯(さくし):蒴の先端開口部にあり胞子が十分に成熟するまで放出されないようにしている。一重や二重などいろいろなタイプがあり分類の手がかりになる。
  • 蒴柄(さくへい):蒴の下に付いている柄で胞子体の一部とされる。蘚類では茎の先端と接合している。
  • 蒴帽(さくぼう):蒴が成熟するまで先端に被っている保護膜で乾燥などの環境要因から蒴を守っている。先が尖がった帽子のように見える。
  • 雌器床(しきしょう):雌器托の柄を除いた傘状の部分。ここの中に造卵器が作られる。対義語⇒雄器床
  • 雌器托(しきたく):苔類の造卵器をつけるために、葉状体にできる小さな傘やキノコのように見える器官(おもにゼニゴケ類)。雌器床(キノコで例えると傘の部分)と雌器柄(キノコで例えると柄状の部分)を含めた呼び方。対義語⇒雄器托
  • 雌雄異株(しゆういしゅ):造精器と造卵器が別々の株(植物体)に作られる形態の事で、造精器ができる株を雄株と呼び、造卵器ができる株を雌株と呼ぶ。対義語⇒雌雄同株
  • 雌雄同株(しゆうどうしゅ):造精器と造卵器が同じ株(植物体)に作られる形態のこと。対義語⇒雌雄異株
  • 植物体(しょくぶつたい):苔のからだ全体の事を示す用語。
  • 全縁(ぜんえん):葉の縁に鋸歯(ギザギザや突起など)が無くなめらかな状態のこと。
  • 造精器(ぞうせいき):配偶体に作られる雄株の生殖器官。
  • 造卵器(ぞうらんき):配偶体に作られる雌株の生殖器官。

【た~と】

  • 弾糸(だんし):苔類とツノゴケ類の蒴の中に入っているスプリング状の糸のようなもの。胞子がダマにならないようにする役割や、遠くに拡散するために入っている。
  • 中肋(ちゅうろく):蘚類では葉の中央にある筋状の構造で葉脈のように見える。苔類では葉状体の中央部にあり組織が厚くなって筋をつくっているもの。
  • 壷(つぼ):蒴の部位の名称で、胞子が入っているふくらんだ部分の事を示す。
  • 倒瓦状(とうがじょう):茎葉体苔類の葉が重なり合って付いているいる様子を分類した形式。茎の先を上にした時に、葉を屋根の瓦にたとえ逆並びなら倒瓦状という。対義語⇒瓦状

【な~の】

  • 内曲葉(ないきょくよう):葉が茎の方へ反って曲がった葉のこと。

【は~ほ】

  • 歯(は):蒴については蒴歯(さくし)を参照。葉については鋸歯(きょし)を参照。
  • 配偶体(はいぐうたい):一組の染色体をもつ(単相)状態の植物体のこと。
  • 背片(はいへん):たい類の葉が変形し二つに折りたたまれているときに、背面側の一般的には表側の裂片のこと。対義語⇒腹片
  • 背面(はいめん):茎葉体などでは葉の茎側でない一般的に裏面と呼ばれる側を示し、葉状体では概ね上になっている面で一般的に表と呼ばれている面を呼ぶ。対義語⇒腹面
  • 被針形(ひしんけい):おもに葉の形状のタイプのことで、平べったくて細長く先端のほうがとがり基部のほうがやや広い形。
  • 腹片(ふくへん):たい類の葉が変形し二つに折りたたまれているときに、腹面側の一般的には裏側の裂片のこと。対義語⇒背片
  • 腹面(ふくめん):茎葉体などでは葉の表裏を示す時に茎の基側の面で一般的に観察者から遠い側を示し、葉状体で匍匐しているような場合は概ね下になっている面を示し一般的に裏と呼ばれている面を呼ぶ。対義語⇒背面
  • 腹葉(ふくよう):茎葉体に葉が3列付く場合に腹面についている葉のこと。また茎の腹側に付く葉のこと。
  • 帽(ぼう):蒴帽を参照。
  • 胞子体(ほうしたい):受精後二組の染色体をもつ(複相)状態の雌株にできる蒴の前駆体。
  • 包膜(ほうまく):造卵器や造精器を保護している膜状の組織で、ゼニゴケ類やツノゴケ類などにみられ造卵器には雌包膜が造精器には雄包膜がある。
  • 苞葉(ほうよう):造卵器や造精器を保護するためにとり囲むように覆う葉のことで、通常の葉とは大きさや形が違う。特に蘚類では造卵器では雌苞葉と呼び、造精器では雄苞葉と呼ぶ。

【ま~も】

  • 無性芽(むせいが):増殖のために無性的に作られる組織で、無性芽が発芽すると原糸体になりそこから幼植物になるものと原糸体を経ずに幼植物になる場合がある。例えるなら山芋の蔓にできるムカゴのようなもの。
  • 雌株(めかぶ):雌雄異株の苔でメスの個体のこと。
  • 毛葉(もうよう):茎の表面に生えている毛のようなもの。おもに水分を保ったり急激な温度変化に対応するため、茎や枝の表面を産毛のように覆っています。

【や~よ】

  • 雄器床(ゆうきしょう):雄器托の柄を除いた傘状の部分。ここの中に造精器が作られる。対義語⇒雌器床
  • 雄器托(ゆうきたく):苔類の造精器をつけるために、葉状体にできる小さな傘やキノコのように見える器官(おもにゼニゴケ類)。雄器床(キノコで例えると傘の部分)と雄器柄(キノコで例えると柄状の部分)を含めた呼び方。対義語⇒雌器托
  • 葉状体(ようじょうたい):葉と茎の区別が出来ない平らで葉っぱ状の植物体のこと。ゼニゴケ類は典型的な葉状体。対義語⇒茎葉体

【ら~ろ】

  • 瘤(りゅう):コブゴケの特徴で蒴の下部で蒴柄に近い部分にできるノド仏のような部分。

【わ】

  • 矮雄(わいゆう):雌雄異株の苔で雌株に比べるととても小さな雄株で、雌株のからだの上に付着し生活している。

今後もコケについての用語を学んだら追記していく予定です。ほんと専門分野って難解な言葉が多いですが、そこも面白く探求心が熱くなり学ぶ楽しさになっていると思います。


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