昔は当たり前のようにしていたことが、今では大きな間違いというような事ってありますよね。樹木の剪定でもそのような事があったのを思い出し、自分への備忘録もかねて記しておきたいと思います。
昔は樹木の大枝を剪定する際は、切り口が塞がった時に樹皮の巻込みが目立たないようにするため、枝の付け根部分ギリギリ(図のA位置)で切断する「フラッシュカット」という方法で切っていました。しかし、今では枝の付け根から少し離れた場所(図のB位置)で切るのが大枝の剪定では常識になっています。
なぜ、このような切り方が選択されるようになったかというと、この方が樹木にとってダメージが少なく良いという事が知られてきたからです。
どのような事かというと、樹木にも細菌などから身を守る防衛機能のような仕組みがあり、枝の基部には「保護帯」という細菌に対する防衛機能があります。あえて人間でたとえるならば、リンパ節みたいなものでしょうかね。フラッシュカット位置で切ると、この「保護帯」を越えて「ブランチカーラー(枝の基部の若干ふっくらしている部分で、一見すると枝側と思われがちですが本当は幹の組織)」と言われる幹側に傷を付けることになってしまいます。そうすると、いくら切り口に癒合材や抗菌剤を塗っても木材腐朽菌などが入り込み、幹を腐らせて樹木自体が枯死なんていう事もあります。
ということで、「ブランチカーラー(枝の基部下側の太った部分)」から「ブランチバークリッジ(枝と幹の付け根で皺になって見える部分)」の外側で切断することにより、「保護帯」が守られることで樹木にとってはダメージが少なく最良という事になります。