先日、「硫安」というブルーベリーに施す肥料の事について調べていたところ「生理的酸性肥料」という用語が文献中に何度も出てきたので、その事について理解を深めるために調べて学んだことを、忘れないうちに私なりに分かりやすくまとめました。
「生理的酸性肥料」のほかに、それと関連する「生理的塩基肥料」や「生理的中性肥料」についても記載しています。
生理的酸性肥料
植物が肥料として吸収した後に残された副産物により、土壌が酸性に傾く肥料のこと(土壌を酸性化する副成物を残す)。肥料その物の化学的性質のPHと一致しない肥料もありました。
【例】化学的PH⇒生理学的PH
- 硫安:中性⇒酸性
- 塩安:中性⇒酸性
- 硫酸加里:中性⇒酸性
- 塩化加里:中性⇒酸性
生理的中性肥料
植物が肥料として吸収した後に残された副成物が、土壌のPHに影響をあたえない肥料のこと。肥料その物の化学的性質のPHと一致しない肥料もありました。
【例】化学的PH⇒生理学的PH
- 尿素:中性⇒中性
- 硝安:中性⇒中性
- 硝酸加里:中性⇒中性
- リン酸一安:酸性⇒中性
- リン酸二安:アルカリ性⇒中性
- 過リン酸石灰:酸性⇒中性
- 重過リン酸石灰:酸性⇒中性
生理的塩基肥料
植物が肥料として吸収した後に残された副産物により、土壌がアルカリ(塩基)性に傾く肥料のこと(土壌をアルカリ性化する副成物を残す)。肥料その物の化学的性質のPHと一致しない肥料もあります。
【例】化学的PH⇒生理学的PH
- ようリン:アルカリ性⇒アルカリ性
- 硝酸石灰:中性⇒アルカリ性
- 石灰チッソ:アルカリ性⇒アルカリ性
硫安を施すと酸性に傾くしくみ
まず、「硫安」について調べてみて次の事が分かりました。「硫安【(NH4)2SO4】」は、強酸の「硫酸【H2SO4】」と 強塩基の「アンモニア【NH3】」が反応してできた塩類で、水溶液の中で完全に電離し、「陽イオン」「陰イオン」の電荷が同じになり、水溶液の PH が 7くらいで中性になります。そのため「硫安」は肥料の分類では、「化学的中性肥料」に分類されます。
その中性の「硫安」ですが、肥料として作物に施すと植物がアンモニアを吸収し、「硫酸イオン【SO4 2-】」だけが土壌に残ってしまうため、それにより土壌のPHを下げて酸性化させるというしくみが理解できました。