富士山麓にも幾つかの戦争遺構がありますが、今回は御殿場市印野1044にある「トーチカ」について紹介したいと思います。「トーチカ」とは軍事施設の1つで、コンクリートや石などで造った小規模な城塞です。おもに小さな観察孔が開いていて、そこから小火器により攻撃をしたり偵察などをおこなう拠点になる建物です。
ここにある「トーチカ」は、旧日本軍が「陸軍富士畑岡射場 弾着観的所」として造ったものです。弾着観的所とは軽火砲や戦車砲などから発射された砲弾が、標的に着弾した際の効果を観測し次弾発射の軌道補正などを砲手に伝える施設でした。
現在は戦後アメリカ軍により軍事訓練の射撃目標にされ、一部が破損崩落して当時の完全な姿ではないですが、ドーム状のコンクリート構造物として残っています。このトーチカには面白い事に、通称がいくつか付けられていて「破れトーチカ」「黒トーチカ」「駒門観的」「大野観的」「焼けトーチカ」「ザク」などと呼ばれています。
このトーチカがある場所は、東富士演習場内にあるため許可なく立ち入る事ができませんが、県道157号沿いにあるため道路から見る事は可能です。道路沿いからでも観測用の細長いスリット窓が見れました。またトーチカ前の広場は「富士総合火力演習」が行われる際には臨時駐車場になる場所でもあるので、その際はもっと近くで観察することが可能でしょう。